ホップと麦芽を背景に、淡色と黒色の2種類のビールグラスと「ビールの苦味がわかると10倍楽しい!IBUとは?初心者向け徹底解説ガイド」の文字が入ったアイキャッチ画像

「ビールは苦いから苦手」「IBUって何?」と感じたことはありませんか。

なんとなく選んで失敗した経験がある方も、きっと少なくないはずです。

この記事は、ビール初心者や苦味に迷う方へ向けたIBU徹底ガイドです。

IBUの意味から、スタイル別の目安、料理との相性までやさしく解説します。

読むことで、自分に合う苦味が分かり、ビール選びが楽しくなります。

今日の一杯がもっと美味しくなるヒントを、ここから見つけてみましょう。

IBUとは?ビールの「苦味」を数値で表す指標

ビールを選んでいると、ラベルや商品説明で見かける「IBU」という表記。これはビールの味わい、とくに苦味を知るうえで、とても重要なヒントになります。IBUを理解すれば、「なんとなく苦そう」から「自分好みかどうか」が分かるようになり、ビール選びが一気に楽しくなります。ここではまず、IBUの基本からやさしく解説していきましょう。

ホップと麦芽、2種類のビールとともに、IBUがビールの苦味を数値で表す指標であることを解説したインフォグラフィック画像

IBUの意味|International Bitterness Unitsとは

IBUとはInternational Bitterness Unitsの略で、日本語では「国際苦味単位」と呼ばれます。ビールに含まれる苦味成分の量を数値で表した指標で、数が大きいほど理論上は苦味が強いことを意味します。

この苦味の正体は、ホップに含まれるイソα酸という成分。IBUは、ビール1リットル中に含まれるイソα酸の量(mg)を基準にして計算されており、たとえばIBU20なら「1リットル中に20mg相当の苦味成分が含まれる」というイメージです。

一般的には、次のような目安で使われます。

IBUの目安 苦味の印象 代表的なスタイル
10〜20 かなり控えめ ヴァイツェン、ライトラガー
20〜40 ほどよいバランス ピルスナー、ペールエール
40〜60 しっかり苦い IPA
60以上 強い苦味 ダブルIPAなど

このように、IBUはビールのキャラクターをつかむための「ものさし」として、世界中で使われています。

なぜビールの苦味を数値化できるの?

「味覚は人それぞれなのに、なぜ数値で表せるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。ポイントは、IBUが人の感じ方そのものではなく、ビール中に含まれる苦味成分の“量”を化学的に測定した値だという点です。

ビールを造る過程で、ホップを煮沸するとイソα酸が麦汁に溶け出します。この量を分析機器で測定することで、比較的正確に数値化できるのです。つまりIBUは、主観ではなく客観的なデータに基づいた指標だと言えます。

そのため、造り手にとってはレシピ設計や品質管理の目安になり、飲み手にとっては「このビールはどれくらい苦そうか?」を想像するヒントになります。IBUは、ビールと私たちをつなぐ共通言語のような存在なのです。

IBUが高い=必ず苦い、ではない理由

ここで大切なのが、「IBUが高い=必ずしも強く苦く感じるわけではない」ということ。実際に飲んでみると、「数値ほど苦く感じない」「意外と飲みやすい」と思うことも少なくありません。

理由はいくつかあります。

  • モルトの甘みが苦味を和らげる
  • アルコール度数が高いとコクが増す
  • 香りが豊かだと苦味よりアロマが印象に残る
  • 温度や炭酸の強さで感じ方が変わる

たとえば、同じIBU50でも、甘みのあるIPAとドライなIPAでは印象がまったく違います。つまり、IBUはあくまで目安であり、実際の味わいは全体のバランスで決まるのです。

「数字に振り回されず、参考にしながら自分の感覚で楽しむ」——これが、IBUとの上手な付き合い方と言えるでしょう。次の章では、スタイル別にIBUの目安を見ながら、より具体的にビールの苦味の世界をのぞいていきます。

おすすめ記事

ビールの種類や特徴、選び方を初心者向けにわかりやすく解説!ラガーとエールの違い、日本の主要ビールメーカー、クラフトビールの魅力、料理とのペアリングまで網羅。この記事を読めば、自分にぴったりのビールが見つかり、よりおいしく楽しめるようになります!

ビールの種類と特徴|初心者でも分かる完全ガイド【保存版】

 

ビールの苦味は何から生まれる?ホップの役割

ビールを飲んだとき、喉の奥に残るキリッとした苦味。この印象的な味わいは、どこから生まれているのでしょうか。実はその主役は、ビールの原料のひとつであるホップです。ホップを知ることは、ビールの苦味の正体を知ること。ここでは、苦味が生まれる仕組みと、味わいを左右するポイントをやさしく解説します。

木の器に入ったホップと畑の風景を背景に、ビールの苦味・香り・鮮度保持におけるホップの役割を解説したイメージ画像

苦味の正体はホップ由来の成分

ビールの苦味のもとになっているのは、ホップに含まれるα酸(アルファ酸)という成分です。これがビール造りの工程で煮沸されることでイソα酸に変化し、私たちが感じる「苦味」となります。

つまり、ビールの苦味=ホップ由来のイソα酸と言っても過言ではありません。ホップは香り付けのイメージが強いかもしれませんが、実際には苦味・香り・泡持ちの向上・防腐効果と、ビールに欠かせない多くの役割を担っています。

ホップを使わなければ、ビールは麦の甘みが前面に出た、ぼんやりした味になってしまいます。ホップの苦味が加わることで、ビール特有のキレと飲みごたえが生まれるのです。

ホップの量・煮沸時間で苦味は変わる

では、なぜビールごとに苦味の強さが違うのでしょうか。その理由は主に、ホップの使用量煮沸する時間にあります。

一般的に、

  • ホップの量が多いほど苦味は強くなる
  • 煮沸時間が長いほどα酸がイソα酸に変わり、苦味が増す

という関係があります。

たとえば、IPA(インディア・ペールエール)は、保存性を高めるために大量のホップを長時間煮沸する製法から生まれたスタイル。その結果、IBUが高く、しっかりとした苦味をもつビールになります。

一方で、煮沸の後半や発酵後に加えるホップ(ドライホップ)は、苦味をあまり増やさず、華やかな香りを付けるのが目的です。「いつ」「どれくらい」ホップを入れるかで、苦味と香りのバランスが大きく変わるのが、ビール造りの奥深さと言えるでしょう。

モルトの甘みとのバランスも重要

ここで忘れてはいけないのが、苦味は単独で感じられるものではない、という点です。ビールの味わいは、ホップの苦味と、麦芽(モルト)由来の甘み・コクとのバランスで決まります。

同じIBUのビールでも、

  • モルトが多く、甘みが強い → 苦味がやわらかく感じる
  • モルトが少なく、ドライ → 苦味がシャープに感じる

と、印象は大きく変わります。

たとえば、スタウトのようにローストモルトのコクがあるビールは、数値以上にまろやかに感じることがあります。逆に、すっきりしたラガータイプでは、同じIBUでも苦味が際立つことも。

ビールの苦味は「ホップの量」だけでなく、「モルトとのバランス」で決まるというわけです。だからこそ、IBUの数字を見るときも、スタイルや味わい全体を想像することが大切になります。

ホップの苦味とモルトの甘みが調和したとき、ビールは“苦いだけ”ではない、奥行きのある美味しさになります。このバランスを意識して飲むことで、いつもの一杯が、より深く楽しめるようになるでしょう。

おすすめ記事

ビールの原料や製造方法、美味しさの秘密を徹底解説!ビールの種類ごとの味わいや、最適な飲み方、食べ物とのペアリングまで詳しく紹介。ビールの魅力を深く知り、自分にぴったりのビールを見つけたい方におすすめの記事です。

ビールの原料と製造方法を詳しく解説!美味しさの秘密とは?

スタイル別|IBUの目安と味わいの違い

IBUはビールの苦味を知るうえで便利な指標ですが、実際の味わいはスタイルごとに大きく異なります。同じIBUでも「爽快」「華やか」「コク深い」など印象が変わるのが、ビールの面白さです。ここでは代表的なスタイル別に、IBUの目安と味わいの特徴を見ていきましょう。

ヴァイツェン、ピルスナー、ペールエール、IPA、ダブルIPAのグラスを並べ、IBUの目安と味わいの違いを比較したインフォグラフィック画像

スタイル IBU目安 苦味の印象 味わいの特徴
ピルスナー 20〜40 バランス型 爽快・キレがある
ペールエール 30〜50 程よい苦味 香り豊か・飲みやすい
IPA 40〜80以上 しっかり苦い ホップの個性が主役
スタウト/ポーター 20〜40 数値より穏やか ローストのコク
ヴァイツェン/ラガー 10〜25 控えめ やさしい口当たり

ピルスナー:爽快でバランス型(IBU20〜40)

日本の大手ビールに多いピルスナーは、苦味・甘み・炭酸のバランスが取れたスタイル。IBUは20〜40程度が一般的で、「ちょうどいい苦味」と感じる人が多いでしょう。

喉ごしの良さとキレが特徴で、食事と合わせても邪魔をしません。苦味が強すぎず、ビールらしさを感じられるため、IBUの基準点として覚えておくと便利です。普段飲みの一杯として、まずはここから試すのがおすすめです。

ペールエール:程よい苦味と香り(IBU30〜50)

ペールエールは、ピルスナーよりもモルトのコクとホップの香りが豊かなスタイル。IBUは30〜50が目安で、苦味は感じつつも、フルーティーな香りが広がります。

「苦いけど美味しい」と感じやすく、クラフトビール入門にも最適。苦味と香りのバランスを楽しみたい人にぴったりで、IPAほど強烈ではないため、苦味に慣れていない方でも挑戦しやすいのが魅力です。

IPA:しっかり苦い代表格(IBU40〜80以上)

IPA(インディア・ペールエール)は、ホップを大量に使ったスタイルで、IBU40〜80以上と高め。グレープフルーツや松のような香りとともに、力強い苦味が口いっぱいに広がります。

ただし、甘みや香りも豊かなので、数値ほど苦く感じないことも。「IBUが高い=飲みにくい」とは限らず、ホップの個性を楽しむスタイルだと理解すると、IPAの魅力がぐっと身近になります。苦味好きなら一度は通りたい王道です。

スタウト・ポーター:苦味よりコク重視(IBU20〜40)

黒ビール系のスタウトやポーターは、IBU自体は20〜40とピルスナー並み。しかし、ローストモルト由来のコーヒーやチョコレートのような風味が強く、苦味よりもコクが印象に残ります。

そのため、数値のわりに「まろやか」「飲みごたえがある」と感じることが多いでしょう。IBUだけで判断すると意外性のあるスタイルで、苦味が苦手でも楽しめる黒ビールも少なくありません。

ヴァイツェン・ラガー:苦味控えめ(IBU10〜25)

小麦を使ったヴァイツェンや、ライトなラガーはIBU10〜25と低め。苦味はほとんど主張せず、バナナやクローブのような香り、やさしい甘みが特徴です。

「ビールは苦いから苦手」という方にこそ試してほしいスタイルで、IBUが低いビールから始めることで、少しずつ苦味に慣れていけるのもポイント。最初の一歩として最適です。

このように、IBUの目安とスタイルの特徴を知っておくと、ラベルの数字から味わいを想像できるようになります。IBUは“自分好みのビールに出会うための地図”。次にビールを選ぶときは、ぜひスタイルと一緒にIBUにも目を向けてみてください。

 

「苦い=不味い」は誤解?IBUの正しい感じ方

「ビールは苦いから苦手」「苦味が強い=美味しくない」。そんなイメージを持っている方は少なくありません。しかし実際には、ビールの苦味は“味の欠点”ではなく、味わいを引き締める大切な要素です。IBUという数値を知ることで、その苦味をどう受け止めればよいのかが見えてきます。ここでは、「苦い=不味い」という思い込みをほどきながら、IBUの正しい感じ方を解説していきましょう。

淡色ビールと黒ビールのグラスとともに、苦味はバランスや料理、個人の味覚で感じ方が変わることを解説したイメージ画像

温度・炭酸・香りで苦味の感じ方は変わる

まず知っておきたいのは、苦味はビールそのものの成分だけでなく、飲むときの状態によって大きく印象が変わるということです。

  • 温度:冷たいほど苦味はシャープに、温度が上がるとまろやかに感じやすい
  • 炭酸:強いほど刺激とともに苦味が際立つ
  • 香り:柑橘やフルーツ香があると、苦味がやさしく感じられる

たとえば、キンキンに冷えたラガーは「キレのある苦さ」が心地よく、少し温度が上がったIPAではホップの香りが広がり、苦味が丸く感じられることもあります。

同じIBUのビールでも、飲む環境で“苦さの印象”は変わるという点を知っておくだけで、「このビール、今日は苦いな…」という違和感の理由が見えてくるでしょう。苦味は固定されたものではなく、状況とともに表情を変える味なのです。

甘み・コクがあると苦味は和らぐ

苦味の感じ方に大きく影響するもう一つの要素が、モルト由来の甘みやコクです。ビールはホップの苦味と、麦の甘みのバランスで成り立っています。

たとえば、

  • モルトの甘みがしっかり → 苦味が包み込まれてまろやか
  • ドライで甘みが少ない → 苦味がストレートに感じられる

という傾向があります。スタウトのようにコクのある黒ビールは、IBUがそれほど高くなくても「苦そう」に見えますが、実際にはチョコレートのような甘みと合わさり、意外と飲みやすいことも。

IBUの数字だけで判断せず、「甘みやコクとのバランス」で味を想像することが、ビール選びで失敗しないコツです。苦味は“甘みとセット”で考えると、ぐっと理解しやすくなります。

“嫌な苦味”と“心地よい苦味”の違い

ここで多くの人が気になるのが、「この苦味は好き」「これはちょっと苦手」と感じる違い。実は、苦味には嫌な苦味心地よい苦味があります。

一般的に、

  • 嫌な苦味:えぐみ・渋みが強く、後味が重く残る
  • 心地よい苦味:キレがあり、後味をすっと切ってくれる

といった違いがあります。前者は鮮度が落ちたビールや、バランスの悪いレシピで感じやすく、後者は良質なホップと適切な設計で生まれる苦味です。

IBUが高いから“嫌な苦味”になるわけではない、というのが大切なポイント。むしろ、香りや甘みと調和した高IBUビールほど、「苦いのに美味しい」と感じられることも多いのです。

苦味は、ビールの余韻を締め、次の一口を誘うためのスパイス。そう考えると、「苦い=不味い」というイメージは、きっと変わってくるはずです。IBUを知り、自分にとっての“心地よい苦味”を見つけることが、ビールを10倍楽しむ近道と言えるでしょう。

おすすめ記事

ビールをもっと美味しく飲みたい方必見!本記事では、ビールの適温・注ぎ方・グラス選び・ペアリングのコツをプロの視点で解説。正しい飲み方を知れば、いつものビールが驚くほど美味しく!自宅で極上の一杯を楽しむ方法を学びましょう。

ビールが美味しくなる飲み方&注ぎ方のコツをプロが伝授!至福の一杯を楽しむ方法

自分に合うIBUは?苦味レベル診断チャート

IBUの意味やスタイルごとの目安を知っても、「結局、自分にはどれくらいの苦味が合うの?」と迷う方も多いはずです。そこでここでは、自分の好みに合ったIBU帯を見つけるための“苦味レベル診断”として、タイプ別に分かりやすく整理してみましょう。IBUはあくまで目安ですが、これを知っておくとビール選びの失敗がぐっと減ります。

ビールの苦味の好みから自分に合うIBU帯を診断できるフローチャート形式のインフォグラフィック画像

タイプ IBU目安 苦味の印象 おすすめスタイル例
苦味が苦手 10〜25 かなり控えめ ヴァイツェン、ライトラガー
バランス派 25〜45 ほどよく心地よい ピルスナー、ペールエール
苦味好き 45以上 しっかり強め IPA、ダブルIPA

この表を目安にしながら、次の項目であなたに合いそうなIBU帯をチェックしてみてください。

苦味が苦手な人向け:IBU10〜25

「ビールは苦いからちょっと苦手」「できればジュース感覚で飲みたい」という方は、IBU10〜25あたりから始めるのがおすすめです。このゾーンのビールは、苦味が控えめで、モルトの甘みや酵母由来のフルーティーさが前に出やすいのが特徴です。

代表的なのはヴァイツェンやライトラガー。バナナのような香りや、やさしい口当たりで、「これ、本当にビール?」と感じるほど飲みやすいものもあります。まずは“苦くないビール”で、ビールの楽しさに慣れることが大切です。

最初から無理に苦いものに挑戦する必要はありません。IBU10〜25の世界にも、香りやコクの違いなど、十分に奥深い楽しみがあります。

バランス派:IBU25〜45

「苦味もビールらしさとして楽しみたいけど、強すぎるのはちょっと…」という方は、IBU25〜45がちょうどよいゾーン。日本のピルスナーや、多くのペールエールがこの範囲に入ります。

このIBU帯は、苦味・甘み・炭酸のバランスが良く、食事にも合わせやすいのが魅力。“ビールらしい美味しさ”を最も実感しやすいゾーンと言えるでしょう。

仕事終わりの一杯、食卓での晩酌、仲間との乾杯など、さまざまなシーンで活躍する万能タイプ。迷ったらまずはこのIBU帯を選べば、大きな失敗はしにくいはずです。

苦味好き・IPA派:IBU45以上

「もっと苦いビールが飲みたい」「ホップの刺激が好き」という方は、IBU45以上の世界へ。IPAやダブルIPAに代表されるこのゾーンは、はっきりとした苦味と、柑橘や松のような華やかな香りが特徴です。

数値だけ見ると身構えてしまいがちですが、香りや甘みとのバランスが取れていれば、意外と飲みやすく感じることも少なくありません。“苦いのに美味しい”という体験ができるのが、このゾーンの醍醐味です。

苦味そのものを楽しめるようになったら、IBU45以上は新しい扉。少しずつ挑戦して、自分の限界値を探るのもビールの楽しみ方のひとつです。

初心者は“低め→中間”が失敗しにくい

これからIBUを意識してビールを選び始める初心者の方には、いきなり高IBUに挑戦するより、低めから中間へステップアップする飲み方がおすすめです。

  • まずはIBU10〜25で「苦くないビール」に慣れる
  • 次にIBU25〜45で「ビールらしい苦味」を体験する
  • 余裕が出たらIBU45以上に挑戦する

この流れで試していくと、自分の好みが自然と見えてきます。IBUは“正解を決める数字”ではなく、“好みを探すための道しるべ”。その時の気分や体調、食事によって「今日は低めがいい」「今日はしっかり苦いのが飲みたい」と変わるのも、ビールの楽しさです。

自分に合うIBUを知ることは、自分だけの“定番の一杯”を見つける近道。ぜひこの診断を参考に、次のビール選びをもっとワクワクするものにしてみてください。

 

IBU×料理|苦味を活かすペアリングの考え方

ビールの苦味は、そのまま飲んでも美味しいですが、料理と合わせることで魅力が何倍にも広がります。IBUという指標を意識すれば、「なんとなく合わせる」から「狙って合わせる」ペアリングができるようになります。ここでは、低・中・高IBUそれぞれに合う料理の考え方を、日本の食卓をイメージしながら紹介していきます。

低IBUから高IBUまでのビールと、揚げ物や肉料理などの料理を組み合わせて、苦味を活かすペアリングを紹介したイメージ画像

IBU帯 苦味の強さ 相性の良い料理 ペアリングの狙い
低IBU(10〜25) 控えめ 和食・白身魚・冷奴 素材の味を邪魔しない
中IBU(25〜45) バランス型 揚げ物・焼き鳥・肉料理 脂を切って後味すっきり
高IBU(45以上) 強め カレー・スパイス料理・濃い味 味の強さ同士をぶつける

この基本を押さえるだけでも、日々の晩酌がぐっと楽しくなります。それでは、IBU帯ごとに詳しく見ていきましょう。

低IBU×あっさり料理(和食・白身魚)

IBU10〜25程度の低IBUビールは、苦味が控えめで、やさしい口当たりが特徴。こうしたビールは、素材の風味を大切にする和食白身魚と相性抜群です。

たとえば、

  • 刺身・カルパッチョ
  • 冷奴・湯豆腐
  • だしの効いた煮物

など、繊細な味わいの料理と合わせると、ビールが料理を邪魔せず、口の中をさっとリセットしてくれます。

低IBUの役割は「主張しすぎず、料理を引き立てること」ビールを“だしの延長”のように楽しむ感覚で合わせると、日本の食卓に自然になじみます。

中IBU×揚げ物・肉料理

IBU25〜45の中IBUは、苦味・甘み・炭酸のバランスが良く、最も万能なゾーン。脂のある揚げ物肉料理と合わせると、その真価を発揮します。

おすすめの組み合わせは、

  • 唐揚げ・とんかつ
  • 焼き鳥(塩・タレ)
  • ハンバーグ・ステーキ

中IBUのビールは、苦味と炭酸で口の中の脂を洗い流し、次の一口を新鮮にしてくれます。「こってり→すっきり」のリズムを作るのが、このゾーンの得意技です。

迷ったら“中IBU×揚げ物”。この王道ペアリングは、ビール好きなら一度は試してほしい組み合わせと言えるでしょう。

高IBU×スパイス料理・濃い味

IBU45以上の高IBUビールは、しっかりとした苦味とホップの香りが主役。これに負けないスパイス料理濃い味付けの料理と合わせるのがコツです。

たとえば、

  • カレー・麻婆豆腐
  • スパイシーなエスニック料理
  • 味噌や醤油が効いた濃いめの炒め物

こうした料理と合わせると、ビールの苦味がスパイスの刺激を受け止め、後味をキリッとまとめてくれます。「強い味×強い苦味」で、お互いを高め合うのがこのゾーンのペアリングです。

高IBUは“単体で飲む”より“濃い料理と合わせる”ことで真価を発揮。苦味好きの方は、ぜひ食卓でもその力を試してみてください。

IBUと料理の関係を知れば、いつもの献立でもビールの選び方が変わります。「今日は何を食べるか」から「今日はどのIBUにするか」へ。そんな発想でビールを選ぶようになると、毎日の一杯がもっと楽しく、豊かな時間になるはずです。

おすすめ記事

ビールと料理の相性を科学的に解説!苦味・コク・炭酸が食事に与える影響を理解し、最適なペアリングを学べます。肉料理・魚介・チーズ・デザートなど、シーン別のおすすめ組み合わせも紹介。ビールをもっと美味しく楽しみたい方に必見の完全ガイド!

ビールのペアリング完全ガイド|料理との相性を科学的に解説!

まとめ:IBUを知ると、ビール選びはもっと楽しくなる

ここまでIBUの意味や苦味の仕組み、スタイル別の目安、料理との相性を見てきました。最後にお伝えしたいのは、IBUを知ることで、ビールは「なんとなく選ぶ飲み物」から「自分で選び取る楽しみのある存在」に変わるということです。この章では、IBUとの上手な付き合い方と、日常での活かし方をまとめます。

夕暮れの屋外で仲間とビールで乾杯しながら、IBUを知ってビール選びを楽しむ様子を表したまとめ用イメージ画像

数値は“目安”、最後は好みが正解

IBUはビールの苦味を知るうえでとても便利な指標ですが、あくまで目安にすぎません。同じIBUでも、香りや甘み、温度、飲む人の体調や気分によって感じ方は変わります。

たとえば、IBU30のビールを「ちょうどいい」と感じる日もあれば、「今日は少し苦いな」と感じる日もあるでしょう。それでいいのです。ビールは“その日の自分”で楽しむ飲み物だからです。

IBUの数字に縛られすぎず、「美味しい」と感じた一杯があなたの正解。このスタンスを忘れなければ、IBUはビール選びを窮屈にするものではなく、むしろ自由にしてくれる道具になります。

缶・ラベルのIBU表示の見方

では、実際にIBUはどこで確認すればよいのでしょうか。クラフトビールを中心に、多くの銘柄では缶やボトルのラベル、あるいは公式サイトや商品説明にIBUが記載されています。

ラベルでは、

  • 「IBU: 35」
  • 「Bitterness 40」

といった形でシンプルに書かれていることが一般的です。もし記載がなければ、スタイル名(IPA、ピルスナーなど)からおおよそのIBU帯を想像するのもひとつの方法です。

ただし、日本の大手メーカーの定番ビールにはIBUが表示されていないことも多く、その場合は「キレがある」「コクがある」といった味の表現や、実際に飲んだ印象を頼りにしましょう。表示があるビールで感覚をつかみ、ないビールは経験で補う。これが現実的なIBUの活かし方です。

飲み比べで感覚を育てよう

IBUを本当に自分のものにする一番の近道は、飲み比べです。異なるIBU帯のビールを少量ずつ飲み比べることで、数字と自分の感覚が結びついていきます。

たとえば、

  • IBU15のヴァイツェン
  • IBU30のピルスナー
  • IBU60のIPA

を並べて飲んでみると、「これが低い苦味」「これが中くらい」「これが強い苦味」という感覚が自然と身についてきます。

数値を“知識”で終わらせず、“体験”として覚えることが大切です。そうすると、次に初めてのビールを手に取ったときも、「IBU40なら、あのときのペールエールくらいかな?」とイメージできるようになります。

飲み比べは、IBUを“自分の言葉”に変える最高のトレーニング。友人とシェアしたり、自宅で少量ずつ試したりしながら、気軽に楽しんでみてください。

IBUを知ったあなたは、もう「苦そうだからやめておこう」と避けるだけのビール選びとは無縁です。IBUは、未知の一杯へ踏み出すためのヒント。ぜひこれからは、ラベルの数字に少しだけ目を向けながら、自分だけの“お気に入りの苦味”を探す旅を楽しんでみてください。ビールの世界は、きっと今より10倍、面白くなるはずです。

おすすめ記事

自宅でできるビールの飲み比べ&テイスティングの楽しみ方を徹底解説!初心者向けに、ビールの種類や味わいのチェック方法、食べ物とのペアリング、楽しく飲み比べるコツを紹介します。この記事を読めば、自宅で本格的なテイスティングができるようになります。

自宅でできる!ビールの飲み比べ&テイスティングの楽しみ方【初心者向けガイド】

出典・参考文献

参考:キリンビール大学|ビールの苦味 IBUとは
https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/daigaku/knowledge/ibu/

参考:サントリー|ビールの原料と製造工程
https://www.suntory.co.jp/beer/knowledge/

参考:Brewers Association|Beer Style Guidelines
https://www.brewersassociation.org/resources/brewers-association-beer-style-guidelines/